こまち @uepam

「わっ!」
「あ……」
気付いた時には遅かった。塀の上で足を滑らせ地面に落ちると思ったら、その下を偶々通りかかった人にぶつかってしまった。
「すみません!大丈夫ですか!?」
(痛っ、……急に、人が……?)
「あ……」
しまった!今の衝撃で右眼の眼帯が取れてしまっていた。どこに落ちてしまったのか、探す前にぶつかった人が体を起こした。
「大丈夫でしたか!?」
「ああ……怪我はない」
見ればその顔は僕より幾分か若く、まだ学生のようだ。金色の双眸が瞬き、僕を見る。
(綺麗な眼だな……)
「あ!えっと……ご、ごめんね!」
「驚いただけだ。これ、あんたのか?」
彼が差し出したのは外れてしまった僕の眼帯で、慌てて彼の手から取り右眼に着ける。
「ありがとう」
「病気、なのか?」
「え……?」
「いや、気を悪くしたらすまない。片方だけ紅いのが綺麗だから、隠したら勿体ないと思っただけだ」
「…………」
「すまない」
「いや、ごめん、違くて……そんなこと言われたの、初めてだったから。嬉しいな」
僕の言葉に彼は照れたのか、頰を赤らめる。
ああ、これも初めてだ。心を覗きたいと自分から思うなんて。