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澤村大地誕生祭2015別バージョン5 

「ほーんと、あの二年間が嘘みたいだな……」

 少し前までは当たり前だった帰宅風景、思わずこぼれてしまっただろう旭の声にそうだなと静かに返す。
 始まりがあれば終わりも来る。宴の喧騒などなかったかのように雪道を肩を並べて歩いた。
 分かれ道で旭と別れ、スガとしばし二人きりになる。

 ふしぜんな沈黙。

「「あのさ……」」

 そこでお互い止まった。降り出した雪に早く帰らなければ風邪をひいてしまうと、どうでもいいことを思った。

「なに?」
「や、そっちは?」
「……」

 口を開いて、閉じる。を、二度、スガは繰り返した。
 オレは、それすらできなかった。なぜだろう。現役だった頃にはいくらでも話したしさっきまでも話した。口を開いて、言葉を紡ぐ。それだけのことだろう?
 なのに出来なかった。

「……やっぱ今日はいいや。帰るべ、大地」

 オレたちが風邪なんかひいたらあいつらに申し訳ねぇべ。全然そんなこと思ってなんかいない。それだけは分かったけれど、眉をへの字にして笑顔を作り必死に取り繕うようなスガは見続けたくなかったから。

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