さぶろうし三四郎 @miwaboh

「真ん中birthday?」
冬服から夏服への移行期間。
私はここのところの夏日を考えて、さっそく夏服をおろしたけれど、アイドルにあるまじきくらいにフフンと鼻息荒く話しかけてくる2コ上の先輩は、夏服にしても暑苦しい。ピンクの長袖カーディガンも、それから、いつもの妙な熱意も。
「そーよ!今、ドルオタの間で流行ってるのよ!自分の推しが2人いる場合、2人の誕生日の間の日を数えて、それを真ん中birthdayって言うの!」
「ふぅん」
それと、先輩の推しとやらの真ん中birthdayと私に何の関係があるんだろう。
「それでね、μ'sメンバーでも、真ん中birthdayを設定して祝うっていうの、やってみるといいと思わない?!」
「そういう話は、私じゃなく、2年生にすればいいじゃない……いいじゃないデスカ」
「あー。いいわよ。アンタ、どうせ敬語苦手なんでしょ?ほら、2年生は園田海未辺りがどうこう言ってきそうだからさ、私だけじゃなく、共同で提案した方がいいかなって」
「……いつも最上級生ぶる割には弱気デスネ」
敬語が苦手なんて言われるのは心外だから、敢えて敬語を使う。

「はぁ?頭脳派の根回しって言うのよ!」
頭脳派?
あんまりそんな印象はないけど……むしろ、杜撰な策に溺れる印象しかないんだけど。
そんなことを思ってるなんて気づきもしてなさそうな先輩は、こう続けた。
「それで、さっそく、にことアンタの真ん中birthdayを調べたのよ。アンタ、4月19日でしょ? それで、にこは、7月22日なの。そうするとね、なんと!6月7日が真ん中birthdayなのよ!」
それにしても、本当に中学生みたいに華奢な人。
なのに、ドヤ顔しちゃって、胸を張っちゃって。
「……かわいい」
「は?」
「え?」
「……なんか言ったわよね?」
「なんかって?」
「……や、無意識だった訳?」
なぜだか、先輩の顔が赤くなる。
え……ま、まさか。
「……ヴェエ!」
まさか、私のさっきの思考、声に出てたのかしら。
顔が熱を持つのが分かる。
「ち、違う!違うから!」
「ひ、否定する必要ある?!大銀河宇宙ナンバー1アイドルに向かって!」
「そう思ってるなら、スルーしなさいよ!」
すると、先輩、グッと言葉に詰まったように、私を見る。
それから、目を逸らしてこう言った。

「……アンタの誕生日、気がついたら過ぎてたし。にことアンタの真ん中birthdayで、お祝いしたげる。だから、予備校あっても空けておきなさいよ」
それだけ言うと、先輩は自分のスクールバッグをひっ掴むと部室を出ていった。
「……なんなのよ……」
華奢な体。童顔の美少女。なのに強気でドジで……そして、不器用に優しい。
矢澤にこ。
あの先輩が構ってくれるのは、本当のことを言うと、なぜか嬉しい。
《Fin.》

⬆️
時間と気力が湧いたら、も少しブラッシュアップしたい気もするけれど、これはこれでアリなのかな?
粗いなりの味わい??
なんつって💦