最後の侍、と呼ばれた老人が居た。
永く警視庁に勤め、校務員として老後を過ごしたその老人は
目を深く瞑り、背筋をピンと伸ばした結跏趺坐の姿勢で
屋敷の縁側から遠く聞こえるさざ波の音を聴いていた。

その頭に浮かぶは在りし日の記憶。
若き日に京の屯所の道場で稽古を付けたあの日。
池田屋、四国屋を包囲し不逞浪士達を追い詰めたあの日。

そして、江戸城が無血開城したのちも会津に逃れ、転戦し続けたあの日。
次々と斬りかかる新政府軍の兵士を一突き、二突きと斃し、屍を踏み越えたあの日。
研ぎすまされ神速の域に達した突きですら、銃弾には敵わなかった。
肩を刺す激痛、次々と倒れる仲間。
おぼろげになった意識に浮かぶは“誠”の一文字のみ。

老人はカッと目を開き、そして微笑む。
「良い、死合いじゃった」

彼は一言そう呟くと
再び目を閉じ、二度とその眼を開く事無く眠りについた。

ーー 藤田五郎、またの名を新撰組三番隊隊長、斎藤一。
無敵の剣とも呼ばれた、最後の侍の最期であった。

@g_m_b001 有難うございます!
読み易さに難点があるという反省点は有りますが、刀が廃れる時代を剣術一本で生き抜いた男の話
というのは想像力を掻き立てられました…!

@mastimaw4
ロマンですよね……!
僕は時代ものはドラマしか触れたことが無いのですが、何か読んでみようと思えました。
読みやすさは確かに必要かと思いますが、マスティマさんの色がしっかり見えて僕は素敵だと思いますー

@g_m_b001 そう仰って頂けると本当に嬉しいです(´∀`)
新撰組の知識はほぼ、司馬遼太郎の「燃えよ剣」と幕末舞台のゲームをいくつか、くらいしか持ち合わせていなかったりするので俺ももう少し色々読まなければですが…汗
読み易さ、文章への取っ付きやすさは自分自身が小説読む際に結構気にするところなので、まだまだ精進が必要かなと思っております。

@mastimaw4
ちょうど燃えよ剣を読んでみようかと考えていました。
全く関係無いところでも最近、とある本を勧められまして。創作のためはもちろんのこと、今後の自分のためにも、読書はした方が良いなと思っているところです。

Follow

@g_m_b001 おお!オススメですよ!
読まなければ書けない、というのは間違いなく事実ですので読書に限らず活字から離れないように普段から心がけております。
ところで…どんな本をオススメされたのか気になるのですが…?

@mastimaw4
あー……、キプロスの霊的指導者「ダスカロス」という人物についての物をいくつか、ですね。オカルトにも分類されがちな分野なので、苦手でしたらこの話はここまでにしますが……。
ざっくり言うとニーチェの様な、哲学関係のものですね。

@g_m_b001 スピリチュアルな分野は苦手という訳では無いですが「昔は好んでいたけど今は興味の薄い」分野ですね…。
しかし、昔から読書を続けて来たおかげで引き出しが増えたので、色々な分野読む事は良い事だと思いますぜ…
自分も見習わないと、です。

@mastimaw4
そうそう、引き出しを増やしておくのは大切ですね。網の目のように様々な情報が繋がっていくのは快感です。
今はネットもありますし、全て覚えていなくてもそこを取っかかりに調べられますしねー

Sign in to participate in the conversation
Pawoo

The social network of the future: No ads, no corporate surveillance, ethical design, and decentralization! Own your data with Mastodon!