最後の侍、と呼ばれた老人が居た。
永く警視庁に勤め、校務員として老後を過ごしたその老人は
目を深く瞑り、背筋をピンと伸ばした結跏趺坐の姿勢で
屋敷の縁側から遠く聞こえるさざ波の音を聴いていた。

その頭に浮かぶは在りし日の記憶。
若き日に京の屯所の道場で稽古を付けたあの日。
池田屋、四国屋を包囲し不逞浪士達を追い詰めたあの日。

そして、江戸城が無血開城したのちも会津に逃れ、転戦し続けたあの日。
次々と斬りかかる新政府軍の兵士を一突き、二突きと斃し、屍を踏み越えたあの日。
研ぎすまされ神速の域に達した突きですら、銃弾には敵わなかった。
肩を刺す激痛、次々と倒れる仲間。
おぼろげになった意識に浮かぶは“誠”の一文字のみ。

老人はカッと目を開き、そして微笑む。
「良い、死合いじゃった」

彼は一言そう呟くと
再び目を閉じ、二度とその眼を開く事無く眠りについた。

ーー 藤田五郎、またの名を新撰組三番隊隊長、斎藤一。
無敵の剣とも呼ばれた、最後の侍の最期であった。

@mastimaw4 めっちゃカッコイイです(*´﹃`*)

@baroque203 有難うございます!
新撰組好きなので、一応うろ覚えな感じですが史実通りに書いてみましたが…堅くなり過ぎた感がどうにも💦

@mastimaw4 堅くないですよ!
むしろ、それがいい。そこがいい(๑•̀ㅂ•́)و✧(笑)

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