らいたゃ誕でボツにした花吐き病及岩供養
「やめろ及川っ!!触んな」
「え、触っちゃった」
及川の手にはたった今岩泉が吐いた花。
血の気が引いた。
「ねぇ、なんで触っちゃダメなの」
「……これ、病気なんだよ。花に触れると感染する。それに俺ん中から出たもんだぞ、汚ぇじゃん」
「ふぅん、感染って絶対?」
「絶対」
「てか、なんの病気?」
「花吐き病。恋煩いの病気だとよ」
「……岩ちゃん、好きな人いるんだ」
「悪いかよ、」
「……妬けちゃうね」
やけに冷たい目をした及川は、俺が吐き出した花びらを食べた。
「お前何してんだよ!!」
「いいじゃん別に。どうせ俺も感染したし」
「いいわけねぇだろ!!」
「ふふ、岩ちゃんの花甘くて美味しい」
「……っ、げほっ、ぐ……うぇ、」
ひらり、ひらり、ぽとり、ひらり、
鮮やかな色の花びらを散らしながら、花を吐く。そんなにわかに信じ難い光景を、及川は興味深そうに見つめていた。
「……へぇ、本当に花吐くんだ……綺麗だね、」
「はっ、げほ、はぁ……は、」
「岩ちゃん綺麗」
自分を、自分の吐く花を綺麗だと言う及川は、まるで作り物のように美しく微笑んでいた。
クロ月と赤安中心