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いちさに 小ネタ 

「遠乗り?」
「ええ。暫く二人で過ごすこともできませんでしたし……逢引をしませんか?案内したい場所があるのです。」
手元にある最後の書類に筆を走らせていた時、一期が私にそう言った。公私混同をしない一期が、最後の1枚とは言っても作業中にこんなことを言うなんて。そっと視線を紙から隣で控えていた一期へと移すと、一期は私を見つめて柔らかい微笑みを浮かべていた。その目が、なんだかとても熱を帯びているような気がして……気がつけば、私は筆を置いて一期へと手を伸ばしていた。
「ん……」
かわいい。大人しく私に撫でられる一期に心が跳ねる。私だって、こんな書類なんかよりも一期と過したい。一期に甘やかされたい。
「……遠乗り、明日行っちゃう?」
「ええ、是非。」
撫でていた手はいつの間にか一期に捕まって、キスを落とされる。ドキドキと音を立て始めた心臓に堪らなくなった私は一期に抱きついた。
「甘えん坊ですなぁ。」
「一期だってそうでしょ?」
書類に嫉妬した癖に。そう耳元で囁けば、くすりと笑う声が耳をくすぐる。
「私を見ないのがいけないのですよ。明日、貴女の時間を頂きますからそのつもりで。」

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