ケンタシノリ @kenta_konomi

夜暗の忍 第4話(その9-2)

「行くぞ!」
 忍たちは霧村の屋敷の屋根へ飛び移ると、誰にも気づかれないように身を潜めた。
「ところで、隈沢は霧村にもう会ったかどうかだが」
「そんなことまで俺は知らねえよ」
 そんな時、屋敷の表門に1人の男がやってきた。2人の忍は、羽織袴を着用したその男を注視している。
「服装からして御家人のようだな」
「こんな時間にわざわざ武家屋敷にくるのには、どんな意味があるだろうか」
 陽と影は男が玄関に隣接した通用口へ入ったのを見ると、すぐさま屋根裏のほうへ足を入れることにした。簗に沿って音を立てることなく進むと、何やら笑い声らしきものが下のほうからかすかに聞こえてきた。
 その声の主を探そうと、2人はそっと耳を当てることにした。

「ふはははは! 隈沢か、よくきたな」
 霧村は酒に酔ったのか、西の丸での姿とは違う豪快な笑い声を上げている。そんな桐村の前にいるのが、徒目付組頭の隈沢である。
「霧村殿、こんな夜分にお邪魔して本当に申し訳ない」
「そんなことぐらい気にすることはないさ」

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