腐敗の大樹

暗い森の世界でもっとも危険で、多くの命を飲み込む「腐敗の大樹」はもっとも心優しくもっとも温厚であった。

その大切な「顔」がそこにある限り、腐敗の大樹は周りのものをその根っこに絡めとることはない

化石の胎樹

暗い森の到来によって海が干上がった。
海底だったはずの地盤の奥底から這い出た化石。

それは草獣としては死んでいたが、化石としては生きていた。
確かに情報を持ち、攻撃的な自己防衛を行った。
それは戦禍の記憶を持っていた。

春触の替樹

春触の替樹は、恐ろしい幻覚作用をもつ草獣だった。
その幻覚作用は、ヒツギ器官の踊り子たちに重宝された。

踊り子たちは華やかな舞踊を人々に見世物として見せた。
深く精神に作用するヒツギ器官の洗脳をまき散らすために、その草獣の体液は酒として加工され、観客に振舞われた。

竜夏の替樹

「メルギトゥルの夏」と呼ばれた現象は、かつての涼しい夏を人々にもたらした。

私が過ごした夏と言うものは、ただ日陰に寄って、扇子を仰げば束の間の涼しさに逃避できる
美しい季節だった。それがまるで灼熱の、日差しの下では干からびてしまいそうな、体温にも勝る
高温をもたらす恐ろしい季節となってしまった。その砂漠の熱の放射は、竜の女王から
もたらされる、命をつなぐための暖かさの成れの果てであっても、
冷却から逃げるための灯であってもだ。
夏は、適度に涼しくなければならないのだ。それが美しい夏だ。
日陰の中に、入ったとき、夕方に吹く風の美しさを思い出したかった。

だから代替的な夏の涼しさは、彼らにとってとても美しく思えた。

その木のもたらす日陰は、打ち水をしたときの土の砂利の匂いがする。
そしてかすかな薄荷のにおい。氷にとけた糖蜜の甘いにおい。

秋燃の替樹

灼熱の「辛味」を持つ草は、草獣として生きる事が困難だと思われた。
暗い森はあまりにも、植物や生命を養うものとは無縁で、生命にとっては異質だった。
草獣はその灼熱の体を、人々に「秋」だと信じさせることに成功した。
暗い森はあまりにも湿っていて、肌寒く、燃えるような美しい紅葉を見ることも、
実った木の実を両手いっぱいに持ち帰ることもできなかった。
秋の夢を、その草獣はそれを信じる者に見させ続けたのだ。

「グラナトゥムの秋」
と呼ばれる現象を引き起こした大樹。それは代替的な秋だった。
草として生きる事を否定された、秋の色をした燃える木だった。

その夢は、メープルシロップと、紅茶と、胡桃の匂いがする。
穏やかな夢は、それを信じた人々にとっては確かに失った「秋」だったのだ。

欠損の描写を含みます。 

田園のたい肥:フローイングソイル

田園を守る番犬フローイングの別の姿であり別の役割は、「たい肥」である。
それは土であり、死体である。
フローイングソイルは、土であり死体であることを求められ
それは生きているフローイングが生きているためにフローイングソイルは死の状態であらねばならない。

田園の番犬:フローイング

それは、霊緑の沈没船のすぐそばの氷の下から発掘された。

霊緑の沈没船から離れられない呪いを彼は忠誠心として理解している。

墓場の番犬は好奇心旺盛で、またその田園を守ることに誇りを持っている。
化石であっても、その忠誠心は変わらず、
異空間で養われ続ける田園の果実を守る役割は変わらないのだ。

霊緑の沈没船:墓場

病や病気でなくなった者たちを埋葬する「墓場」として使われていたが、そのもう一方の意味は
「田園」だった。
墓場は大地であり、その大地に遺体を埋葬する事で大地の養分とし、その田園は維持された。

酷炎の沈没船:焼けた草原

その熱気がなんのためにあったのか、それは調理だと思われる。
処刑のための火刑ではなく、間違いを犯したものの肉を調理して皆で食べるための晩餐の場としての
「焼けた草原」だったのだろう。

骨青の沈没船:月光の教会

青ざめた骨のようなその沈没船は、
月光の教会と呼ばれる、「祈り」のための空間だったそうだ。

小さく開いた口からは時折、祈りの文言のようなものが溶けだすように紡がれる。

結界の内膜:ソル=トリアム

彼は結界構造帯であった聖なる母人魚から生まれた両性具有だった。

たしかに結界構造帯の素質を継いでいたが、弟であるサナのほうが先に結界構造帯として成熟し
弟は女性として成熟した。
陸上で生活するために人魚の尾は二つに裂いた。うまく歩けなかったトリアムは杖を携えて歩いた。

トリアムは、幼いころから弟のサナに守られて生きてきた。
サナは力が強く、トリアムの肉体がか細く、頼りないことも愛し、そしてトリアムの守護こそが
サナの役割だと思っていたようだった。
トリアムはそのサナの気持ちが重苦しく感じていた。

結界構造帯の聖女:サナ

聖なる人魚「結界構造帯」である母から生まれ、兄はその結界構造を両具有者としてその半分を継ぎ
弟であるサナは男性としてうまれその結界構造を継がなかったと思われた。

赤鷲:タイル

拠点を持たず、拠点とともに移動しながら腐敗や雑音を狩る。

彼は幼いころから盗みや暗殺をして生きてきた。
そうして町を転々とした。
恨まれ、蔑まれながら旅をした。
暗い森に飲み込まれ消えていった町も見た。

その殺戮の能力を見初められ、青い鱗を持った兄妹に誘われた。
青い鱗をもった美しい兄妹は聖職者であり、ラクリム・ケントルムの結界をもって
町や人々を守ろうとしていた。そして結界を司る人魚である兄妹を守る力を探していた。

オリジナル創作。
ゾンビバスター「日輪」のグループもキャラクター絵を描き終えることが出来ました!
ちなみにユキハさんは「朽ち野」というゾンビバスターです。

「日輪」は「青蛇」と「白蛇」がいなくなったところにやってきた有力なゾンビバスターというイメージ。

囁きの雨粒:カナル

雨粒は小さな声で囁く用に聞こえる冬眠した北風の、その意識の声を聴き、伝えるべきことは伝えた。
膨大な情報から、役立つものだけをかいつまんで、語った。

伝えなくともよい悪夢や良い夢は、カナルとノーソンの秘密にした。

冬眠する北風:ノーソン

その北風は長い冬眠に入っている。
その北風は、暗い森から逃れた街の、その一番大きな結界を司る教会の中心である。
彼の目は開き、それでもその意識は眠りに落ちている。
彼の傍らに寄り添う妖精の猫が、彼の意識や感情を感じ取り言葉にする。
冬眠する北風の意識は常に、古代船に接続され、そうして結界を張る許しを得ている。

雲煙の聖女:ハドラ

彼女は自らの肉体が雲や煙のように融解し、拡散することを知った。
そして高圧と高温にも耐える肉体を持っていることを知った。
腕は溶け、煙となった。髪はほどけ、雲となった。
尾はねじれ、煙幕となって拡散した。

日輪:サーリックとロザリオ

「日輪」と呼ばれるゾンビバスター、
サーリックとその姉、ロザリオ。
弟と姉と言う関係で、生と死の関係でもある。

魚鱗の聖人:イクソス

イクソスはエレノアがまるで正気を取り戻すようになるまで彼女の話を聞き続けた。
膨大な情報と見たこともない記号と、言語。
海の、圧力と深さ。
古代の船のその広大さ。

浅海の聖女:エレノア

イクソスはその半透明にも見える透き通った女性に声をかけた
「こんばんは、いったい貴方は?」
「私はエレノア。ここで人魚に間違われて連れてこられ、そして生贄として殺されて、
今はただ古代の船とお話するだけの死人」

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