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えすり十座くん夢
バイクの免許をとったと聞いたのは少し前のこと。海で朝日がみたいとわがままを言って連れ出してもらった、秋が始まる少し前の深夜。海の風が冷たく、都会で見る星は小さく世界の終わりのような静けさ。柄にもなくセンチメンタルな気持ちになり十座くんの腕に擦り寄ると、彼は少し肩を揺らし睨むように振り向いた
「おい、どうした?」
「ちょっとしんみりして」
「(??しんみり…?)」
夜が明ければ直にジョギングする人や犬の散歩をするおじいちゃんにも遭遇するだろう。このままふたりっきりの世界のままでもいいのに。役者として日々成長していく彼と大学でただ毎日ぼんやりボードを眺める私。同じ高校、同じクラス。卒業してから何度も考えるふたりの未来。海を見つめる十座くんの横顔が知らない人に見え、その距離にもどかしさを感じる。
「海はセンチメンタルな気持ちになるの。」
「……じゃあ次は山にするか」
「いや…そういうことじゃ…」
きょとんとした顔が知り合った頃の十座くんと一緒でついつい笑ってしまった。
「うん、今度は山で夕日みたいなあ」

任せとけって目を細めて笑うその顔が明日も明後日もそばにありますように

月田/言葉を生み出す術を僕はまだ知らない。

「田中って馬鹿だけど頼りになるよね。」

は?

よく聞く名前が聞こえたと思えば予想外の言葉が添えられ、口から空気が漏れた。なんだって?

「わかる~タイプじゃないけど、バレーしてるところはかっこいいよね、悔しいから本人にはぜったい言わないけど」

笑いながら吐かれる言葉に自然と眉間にシワがよるのがわかった。頼りになることも、まっすぐなところも僕だって知っている。ずっと、その背中を見てきたから。やめてくれ、きっと、そんなことを言われてると知れば耳を赤くしすぐ意識する。僕が言ってもそうにはならないくせに。

くせに、だなんて。

口に出したこともないのに、同じ土俵にすら立ててないのに何を僕は。

嫉妬することすら許されないくせに。

***
田中先輩はなんだかんだ影でモテてるって信じてる。

HQ!月田
きっとそのとき、僕は隣にいない。

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HQ!/月田
ばちっと音が鳴ったような気がした。
目を細めこちらを見て笑う田中さんに何を言うべきかわからず、結局いつものように目を逸らしてしまった。
「月島って、」その口から出される自分の名前が時々痒くなる。
「俺が見るとすぐ目、そらすくせに見てない時は見てくるよな」
いつも鈍感なくせ、こういうときだけ目ざとく気づくところがきらいだ。

気づかないままでいてほしかった。