先日『エリザベート 愛と死の輪舞曲』読んだんですが、やっぱりトート様は最高だし青い瞳と琥珀色の瞳のせめぎあいにはちょっと思うところがありましたね

とりあえず川嘘交番の二人のスピンオフがあると聞いたから手を出してみようかなと思いました。

川嘘交番が強すぎた。ヴィラン大好きの私に都合が良すぎて最初「これは二次創作ではなく…!?」って困惑しちゃった。

昨日作業の合間にさらざんまいを1話見るつもりでネトフリ点けたんだけど、最初からパンチが最強過ぎて困惑している内に自動再生に任せてどんどん話が進んでしまい、気がついたら全部見終わってしまっていた。2時30分だった…。

本日のCoCのエンドカード(創作・流血)

たった一つの理由5 

 車椅子に腰を下ろしたマギーの膝にブランケットを掛け、散らばったヒヤシンスを集めて渡す。
「今花瓶に水を入れ直して来ますから」
「ありがとうございます」
 彼は窓際の花瓶を持って水道に向かうロベルトの背中をじっと見つめている。戻ってきたロベルトは元通り窓際にそれを置いて、花を挿した。窓から降り注いでくる午前の爽やかな陽光が花弁を照らす。
「良い天気ですね」
 振り返ると、マギーはじっと窓の外を見ていた。その佇まいは梢に止まって空を見上げる渡り鳥にも、出港の日を待つ帆船にも似ていた。
 もう一度外を見る。針のように鋭い小鳥の鳴き声。病院から外の世界へ続く並木が、風が吹く度に揺れている。ここから見る景色は一枚の絵画のように均整がとれている。一つでも部屋がずれればこうはいくまい。まさしく引き込まれるような美しさだ。マギーがここに入院することになったのは誰の采配で、どんな偶然だったのか。否、何の冗談だったのかと問うべきだ。
「飛び降りようとしましたね」
 ロベルトは何故かそう思った。悪夢のような話だ。理由もわからず、人が引き込まれかけた死の気配を濃密に感じ取ってしまうなんて。

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たった一つの理由4 

 ヒュッと喉が鳴った。空いているベッドの上に荷物を放ると、病室の奥に歩いていく。窓際に置かれた硝子の花瓶が倒れていた。水と活けてあった青いヒヤシンスは床の上に散乱している。その中心にマギーが横たわって本を読んでいた。
「そろそろいらっしゃる頃だと思っていましたよ」
 マギーは本の下からちらりとロベルトを見、事も無げに言った。彼があまりにも平然としているので、ロベルトの調子は大いに狂った。彼が何らかの原因によって車椅子ごと倒れ、弾みで花瓶を倒してしまったことに違いないはずなのだが、なぜ平然と本など読んでいるのか。
「あの……」
 訊ねようにも、一体何から訊ねたものか決めあぐねて言葉が出てこない。マギーはぱたんと本を閉じて傍らに置くと、落ちていたヒヤシンスを一本手にとって弄び始めた。
「とりあえず、車椅子に戻るのを手伝っていただいても?」

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たった一つの理由3 

 仕事用のバッグと小さな紙袋を一つ持ってマギーが入院する病室の前にやってくる。あのミステリアスな患者は未だに自殺の理由を明らかにせず、何を問うても薄笑いで首を傾げ「さあ」と溜息混じりに呟くばかりだという。実際に見てはいなくとも、話を聞くだけでその時の様子はありありと想像することができた。
 一週間前初めてマギーと面会した時、彼は精神的に全く問題のない人間のように見えた。それどころか、入院などせずそこらを元気に歩き回っている人間よりもよほど調和がとれていて余裕があった。もしも無関係な人間が彼を見かけたならまず外科の患者だと推測するだろう。端から見た彼は車椅子に乗っているという一点の外におよそ病院の世話になるような人間には見えないからだ。実際、自殺の理由さえ聞き出すことができたなら、彼はそう時間を置かずに退院できるに違いなかった。
 深呼吸を一つして、戸をノックしてからIDで解錠して中に入る。途端、強い風が顔面に吹きつけてきて思わず顔を逸らした。中途半端にあけられたカーテンが今にもレールから飛び去ろうとするかのごとく暴れている。そのはためく裾の下に横転した車椅子があった。

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たった一つの理由2 

「今までの恋人たちがあなたを手放した理由、今ならわかるわ。あなたは人間に興味がない……少なくとも、この大学にいる人間はあなたの関心を惹けない。あなたはあまりに聡すぎて、私たちをすぐに理解してしまうんだもの」
 そんなことはない、とロベルトは言った。もし自分がすぐに他人を理解してしまう能力を持っているとしたら、わざわざ大学に来てまで人間の研究をする意味がないじゃないかと。しかし、彼女は首を振った。そして、嘲るように笑った。
「ロベルト、あなたは一流の学者になれるわ。そうしたら、あなたが心底興味を惹かれてやまないような存在にいつか出会えるかもね。……今まで楽しかった。ありがとう」

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たった一つの理由1 

 ロベルト・ニコラスは恋をしたことがない。ギムナジウムで、大学で、そして院に入って研究者として働くようになってからも、知的で優しく、また容姿にも恵まれた彼に好意を向ける者は少なくなかった。その内何人かとは実際に交際に至ったのだが、長くは続かなかった。
「あなたはとても素敵な人だけれど、私じゃ駄目ね」
 大学時代に交際していた同学部の才媛は、俯きがちにそう言った。人が一つの恋を諦めようとするときの例に違わず、彼女は悲痛そのものといった顔で、西日が落とす深い影の中に肩を落として立っていた。

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