針井 @haryiruri

8.「夏休み中盤だし…海でも行こう」

ウチがそう提案したとき、あの二人は飛び跳ねながら大喜びしていた。
その顔を思い出しながら"夏季休業中"と書かれた看板を探す。
カレンダーを眺めて、盆の時期がどんどん迫ってきていることに気が付いたのが昨日の夜だ。
ああ、あった、これだ。
去年の夏以来ずっと放置していたから、随分ホコリまみれになっている。
パッパッと軽く叩き、塵を落としながら、早めに荷物をまとめておこうと思った。

たまたま席が隣同士だった。
そう、たまたまだ。
南の海へ向かう為に乗った新幹線の自由席で、ぼくは旧友と偶然同じ車両だったのだ。
発車してから既に数十分が経過している。
彼もぼくの存在に気が付いているようで、時々目が合わさることもあった。
その度ぼくは困ったように笑ってみるのだけれど、彼はすぐにそっぽを向いてしまう。
ぼくらは決して仲が悪い訳じゃない。
電話やメールでやり取りすることだってある。
彼は人と関わるのが嫌いだから、あんまりこういう所で喋りたいとは思ってないんだろう。
何というか…僕が思うに、彼は結構面倒な人だ。

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