はるき @haruki_w@pawoo.net

例えばカレールウならメーカーは代表的な一種類で、甘口と辛口があって中辛がないとか、そんな感じだけど、有るのと無いのでは大きな違いだ。
これは他の地方で採れるとか、代用できそうなものがあるとか、大旦那様にも聞きながら、籠に入れたり、考えたり、棚に戻したり、やっぱりまた籠に入れたりを繰り返して、大体の買い物を終えた頃には、思っていたよりも随分と時間が経っていた。
「長いこと付き合わせて、ごめんな」
「全然そんな事ないよ。買い物は新婚さんみたいで楽しいし、虎徹が一生懸命なのはかわいくて、見ていて飽きないから」
「そ、そうか。えーと、それならいいけど」
いや、良いのか?良くなくはないな?いやいや、良くなくなくな……何か頭が混乱してきた。考えるのは止めにしよう。
荷物は段ボール箱数箱分になったけど、車に積めそうだからと大旦那様が持ってくれた。俺でも持てなくはないけど重いな、というくらいの重量でも、大旦那様は軽々と持ち上げる。妖と人間の力の差はなかなかに如何ともしがたい。
「次は僕の用事に付き合ってもらえるかな?それ程時間はかからないと思うよ。お茶も出してもらえるし」
「あ、うん。もちろん」

店に入った瞬間から視線を感じてヒヤリとしたが、どうも注目されているのは俺よりは大旦那様らしい。あからさまに指を差すようなことはしないけど、あちこちでヒソヒソと話している声が聞こえる。ただし大旦那様の言った通り、こちらに話しかけては来ない。気にする素振りをしながらも遠巻きに見ているだけだ。
大旦那様が注目されると否応無しに俺も視界に入ってしまうから、ちょっと離れたくはあったけど、離れてしまったら見知らぬ妖たちの中、一人で身を守れるかと言われると覚束ない。そんな俺を見て、大旦那様は殊更に穏やかな声で大丈夫だよと言った。
「ここに来る妖はそれなりに裕福で、理性もある方だからね。それに現世に少なからず興味もある。慣れたら一人でも来られると思うよ」
それもそうか。ここは隠世でも人間に好意的な妖がいる場所でもあるんだ。
大旦那様の話を聞きながら、俺はガラガラとカートを押して目ぼしいものを籠の中に入れていく。色彩が豊かで目まぐるしいが、慣れ親しんだ色や文字はほっとする。
店は品揃えそのものは悪くなかった。その分種類が少ないのは仕方ない。

同じ会場って知った時はえって思ったのと、万が一検討中の講座の増設が翌日になり、さらに同会場になったらどうするんだろうとは思っている

へえ。都にはそんな店もあるんだな。
俺の前に現れた大旦那様は割と気軽そうに現世に来ていたけど、本来はそう簡単に行き来できるもんじゃないはずだ。だから一軒しか無いとはいえ、現世のものがそれなりに安定して手に入るという事自体が驚きだった。
大旦那様が言うには、この店のは正規ルート品で安心安全、それ故に値段も相応、だそうだ。継続して取引もできなくはないけど、店の売上と相談になるってことかな。
とりあえず最優先は調味料や香辛料の類。それから何かヒントになりそうな料理の本があれば御の字だ。洋酒類は値段によるけど、デザート類に使うものはなるべくなら欲しい。さて、どうしようか。
「まずは相場を見ないと始まらないからね。今日の支払いは僕がするから、心配しないで好きなものを買えばいいよ。開店祝いの一環だと思ってくれれば」
大旦那様相手に押し問答しても負けるのは分かりきっている。好意は有り難く受けておくことにした。とはいえ全面的に甘える気はないから、ちゃんと出世払いで返せるように頑張ろうと心に誓った。
店内は食品が中心で、本や文具や衣類なんかも少し取り扱ってるようだった。

それはつまり、下手に外すと見ず知らずの妖に取って食われかねないってことだな。気をつけよう。
「あれ、大旦那様も?」
「言ったろう?顔を知られているからね。それに、声を掛けられたくない時も着けるんだ。暗黙の了解みたいなものだよ」
もふもふの兎の仮面は、最初に見た時とは幾分印象が違った。周りが明るいからか、それとも心象の違いだろうか。今なら白く柔らかそうな毛並みに触ってみたいとさえ思う。
「折角の虎徹とのデートだから、水入らずで楽しみたい」
前言撤回する。やっぱり大旦那様はよくわからなくて、ちょっと近寄りがたい。機嫌は良いみたいだから敢えて口を挟む気は無いけども。
「着いたよ。降りよう」
大旦那様に促されて降りたの場所は、街中で専門店らしい店が立ち並ぶ場所の一角にある、中規模のスーパーみたいな店の前だった。車は俺たちを降ろすとそのまま走り去って、後でまた迎えに来てくれるらしい。
「ここは?」
「所謂、輸入品店だよ。ここは現世のもの専門でね、隠世にもこの一軒しかないんだ」

そういえば夏インテの前にツイッターでアンケート取ったら、公式準拠の話がいいって方が多くて驚いたんですよね。パラレル「が」いいって方が少なめなのは何となくわかるんですけど、どっちでもいいって方も少なめだったのが意外でした。私の垢は鍵でフォロワーさんも多くないから一般的な傾向とはまた別なのかもしれませんけど。

みなさんが冬の原稿を頑張っているので私も5月の福岡に向けて素振りをしたいと思います

「行けるよ。でも僕が乗ると騒ぎになってしまうから」
「騒ぎになる?」
「長く生きてると、結構広く顔を知られていてね」
なるほど、芸能人とは言わないまでも、有名人なわけだ。それも大変だなと、この時の俺は呑気に思っていた。
山を越えると、車はまた地上へ向かって降りていく。大旦那様曰く、都は目に見えない巨大な結界の中にあって、上空から直接入ることは不可能らしい。高貴な方々の頭上を飛ぶことも許されないから、何処の誰だとしても、都を通過する時は必ず地上に降りて、四つの方角にあるどれかの門から入って地上を行くことになるんだそうだ。
目の前に見えているのは西門らしい。門は門でも立派な屋根と見張台付きの楼門で、二階建てバスでも余裕で通れる幅と高さがあった。門の脇からはずっと土壁が続いていて、都の外側を覆っている。昔のアジアみたいな、いわゆる城郭都市なんだろう。
「降りるまでに、これを着けておいて。僕がいいと言うまで外さないでね」
大旦那様に渡されたのは、仮面だった。ちょっと猫っぽいけど、目と口の形、それに縞の模様から虎だとわかる。
「仮面は正体を隠すものだ。虎徹は人間だから、それを隠すのに役立つ」

みなさんそろそろ冬の原稿の追い込み時期かしら。お体にお気をつけて、お気張りやす。

タイガーさんが変に暴れたせいでお姫様抱っこ失敗してバーナビーさんの顔面にタイガーさんの尻が直撃した回の録画データどなたかお持ちでないですかね

覆い被さってシートベルトを留めてくれる大旦那様からすごくいい匂いがすると思いながら、言われた言葉に驚いた。
「飛ぶ!?」
外から見た時は大きめのセダンタイプの車だった。いい車で高そうだなとは思ったけど、飛ぶのか。そうなのか。
「隠世の車は飛ぶよ。セダンでもワンボックスでもバスでも牛車でも。地上を走るのもあるから、全部ではないけどね」
あるのか、牛車。大旦那様は愉快そうだ。
「牛車を使うのは都の高貴な方々くらいだよ。乗ってみたいなら頼んであげるよ」
コーキな方々。皇室とか王室とかだろうか。隠世にもいるんだな、そういうの。
「いや、そこまでして乗りたいとは思わないから、いらないよ」
窓の外を見ると確かに車はもう既に宙に浮いていた。衝撃はあまり感じられないけど、下の方に炎みたいなのが見える。熱くはないから、妖力が可視化されたものかもしれない。
「バスだ。乗合か?」
少し離れた所に見える車両は本当に現世で言うバスだった。いわゆる路線バスらしい。行き先表示は「妖都」になっている。残念ながら猫の形はしていなかった。
「あれに乗っても都へ行けるんじゃないのか?」
俺がそう言うと、大旦那様は苦笑した。

平田さんがあけおめでペロッと言ってたゲームのって、結局スロットのことだったのかな

「俺はカッコいいんだよ!」って主張する虎徹さんはかわいいですね

「それなら答えはこうだ。僕はそういう嗜好はないから、子供には欲情しないよ」
「ええと?」
だから持って回った言い方をされると、理解するのにちょっと時間が……って、待て。
「大旦那様、車の用意ができました」
「ありがとう。行こう、虎徹」
「あ、ああ」
「行ってらっしゃいませ。お気をつけて」
辿り着きかけた思考が散ってしまう。何かトンデモナイ事を聞いた気がしたのに。
大旦那様に促されて、頭を下げているバニーの前を通り過ぎる。すごい、お手本みたいな綺麗な礼だ。何だか後ろめたさみたいなものに突き動かされて、何か言いたかったけど、言葉が出ない。もどかしい。ええい。
「土産、買ってくるから!」
後ろを振り返って怒鳴ると、バニーが伏せていた瞼を静かに上げた。きっとびっくりしただろうに、頭は下げたままだ。言葉も発さない代わりに唇に少しだけ笑みを浮かべて、お辞儀を僅かに深くする。
「まったく。そういう所だね。あれもタイミングを見計らってたから、おあいこだけど」
「何がだよ?」
「何でもないよ。シートベルトは締めて。飛ぶからね」

こっちでも変な広告垢からリプ飛んでくるんだね。面倒な。

「でも、かわいいものはかわいいよ?」
大旦那様は心底不思議そうな顔をしてる。ダメだ。やっぱり話が通じない。さっきの疑問がまた沸き上がってくる。
「大旦那様は」
「ん?」
「俺のこと子供に見えてるのか?」
何かと言えば「かわいい」って言うのは、そういう事なんじゃなかろうか。ちょっと釈然とはしないけど、その方がまだ理解できる気がする。
が、俺がそう言った途端、大旦那様はぴたっと口を噤んだ。大旦那様は商売人だし話上手でいつも淀みない会話をするから、これは珍しいことだ。今の質問はそんなに変だったろうか。それとも何か気に障った?
「ごめん。心配しなくていいよ。だからそんな不安そうな顔しないで」
「えっ」
そんなに顔に出てただろうか。不安、というか、俺は不用意な発言が多いみたいだから、大旦那様を不快にさせたんじゃないだろうかと気掛かりだっただけで。
「ちょっと質問の意味を考えていたんだ。そのままでいいみたいだね」
「うん?……うん」
表も裏も何もない。そもそもこの質問の裏って何だ。大旦那様は頭がいいから色々と考えるんだろうけど、俺にはそんな技量はない。駆け引きも苦手な方だ。

「支度はできた?忘れ物はないね?」
宿の前で大旦那様に聞かれて、うん、と答える。答えたが、内心は何でこんな歳になっても出かける前に忘れ物確認されてるんだろうと思っていた。大旦那様には俺が子供に見えているんだろうか。年齢から言えばほとんど子供みたいなものなんだろうけど、それにしたって限度が無いか。
「服もよく似合ってるよ。ネイサンの見立ては確かだね」
それは俺も思う。既製品だと言っていたのに、誂えたようにぴったりだ。さらさらして気持ちいい生地で、多分正絹とかの高級なやつなんだろう。着物も羽織も地は深緑で、着物の方が少し色が薄い。羽織は途中から虎縞みたいな黒色の模様が横に入っていて、袂はほとんど黒だった。羽織紐も布は黒で、中央には水晶を基調に翡翠と虎目石がバランスよく連なっている。襦袢だけが深い赤色で、襟元や袖元から覗くそれが差し色になっていた。大旦那様の着物の色に似てるな、と言ったら、同じ染料で染めてるものだよと言われた。
「急に恥ずかしくなってきた」
「そう?かわいいよ」
「それ!かわいいって違わないか?俺もうアラフォーで見てくれも若い女の子にはおっさんて言われるくらいで」

口に合ったのなら何よりだ。
「良さそうな仕事場見つけたじゃない。これでも気にはなってたのよ。けど前にも言った通り、湯守としては雇えないから。あの時に断ったことは謝らないわ」
葛餅を黒文字の先で刺しながらネイサンが穏やかに言う。
「ああ。俺も無理なこと言ったって今はわかるから。気にしないでくれ」
むしろ、お情けでも湯守の中に入れてもらっていたら、ここには辿りつけなかっただろう。イワンやアニエスとの出会いも違ったものになっていたはずだ。そう考えれば感謝してもいいくらいだ。
「従業員用の温泉も宿の中にあるから、たまにはいらっしゃいな。そこもアタシたちが管理してるから、お湯の質は保証するわ。情緒はあまりないけどね」
お店、繁盛するといいわね、と言い置いて、ネイサンは宿へと戻って行った。一口に妖と言っても、本当に色んな奴がいるんだなと驚かされる。
応援してもらったことだし、と開店準備を頑張ろう。メニューは手に入る材料と、調理した時の具合を確認しながらだから、もう少しかかる。内装も、先立つものが無いから大規模改装は無理だけど、雰囲気くらいは変えたい。俺は気合いを入れ直して、片付けに取り掛かった。

白褌でびしょ濡れになるとスッケスケで具が丸見えという情報が流れてきたので白褌の虎徹さんにプールに飛び込んで欲しいしプールから上がるに上がれなくなって欲しい。プールはバーナビーさんが貸し切っております。

大旦那様は某Bさんに描いていただいた10年後のバーナビーさんのイメージに近い感じで書いてる。オタ垢のツイッターのアイコンのやつ。スパダリスパダリ。眼鏡のフレームも尖ってない。で、和装。基本的にみんな和装です。 pawoo.net/media/C-D_5Vmx2uLIVW