短文ようりこ④
今日は席替えがある。楽しみにしてる子もいれば、憂鬱そうにしてる子もいる。
正直言って、私も席替えしたくない派だ。と言っても周りの子たちとは訳が違うだろう。私が今の席を離れたくない理由は斜め前にいる子だ。
斜め前を見れば初めての席替えでドキドキしてるのか、それとも単純に次の席はどこになるのか気になるのか、そわそわしている梨子ちゃんの姿があった。
梨子ちゃんが好きだって気がついたのは授業中だった。最初は可愛いくらいに思ってた斜め後ろから見る横顔。好きって感情が芽生えて、日を追うごとにそれが大きくなっていくのを感じた。それに伴って、真っ直ぐ彼女の顔を見れなくなってしまったのだ。ドキドキするから。私がまともに彼女の顔を見れるのは授業中だけ。だから、この席から離れたくない。
そう思ってた。
「みんな、席に着いたー?」
この状況はなに?隣を見れば先ほどまで斜め後ろから見ていた顔があって複雑な気分。
「隣が曜ちゃんって新鮮だね」
無邪気に笑う梨子ちゃん。新鮮とか、そうゆう問題じゃない。これじゃあ、授業に集中できないよ。
「はぁ…」
小さく吐いた溜め息がどうか彼女に聞こえませんように
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