よう←りこ‪(報われません)‬ 

曜ちゃんが好きって自覚したのは何年前だっけ。高校を卒業する頃には好きになってたし、まだスクールアイドルとして活動していた頃かな。
最初は可愛い子だなって、友達がいっぱいで、毎日が楽しそうで私とは住む世界が違う子なんだろうなって。それくらいだった。実際話してみたら私の想像通りの子で、やっぱり住む世界が違うなって。でも、違った。曜ちゃんは私の想像通りの人なんかじゃなくて、理想通りの人を演じていただけ。本当の彼女はもっとずっと弱くて、女の子らしくて。たぶん好きになったのは高校二年生の夏。電話越しだったけど、聞いた彼女の涙の音、涙声、胸を強く締め付けられた。
まさか自分が女の子を好きになるなんて思ってもみなかったけどね。
「曜ちゃん」
好きです。大好きです。
何年もの間、胸の奥にしまっていた言葉はもう彼女に届かない。届いちゃいけないんだ。
ずっと言えなかった好きの気持ちを込めて、白いドレスを身に纏った貴女に贈る言葉は。

「結婚おめでとうございます」

よう←りこ‪ 

私の好きな人、渡辺曜ちゃんには好きな人がいる。
好きな人に好きな人がいたら諦めるか玉砕覚悟で告白するかのどっちかだと私は思ってた。でも、私はどっちでもない。私は想いを伝えず好きで居続けることを選んだ。もちろんこの選択は自分を苦しめるだけって言うのは分かってた。分かってたんだけど、諦めることもできない。想いを伝えることもできない。中途半端な私には好きで居続けることしか選択肢がなかったから。
人を好きになるって悪いことじゃないと思う。たとえそれが叶わない恋だとしても、きっといつか曜ちゃんを好きになってよかったって思える日が来るはず。そう思ってしまうなんて私って変な子だよね。

曜ちゃんの好きな人は私のよく知っている子だった。本人は隠しているつもりなんだろうけどバレバレ。だって、教室でも、部室でも、ダンスの練習中でさえ曜ちゃんの視線の先には必ず千歌ちゃんがいたから。
私は曜ちゃんの目には映らない。でも、それでもいいかな。
だって、曜ちゃんが、好きな人が幸せでいてくれたらそれだけで私は幸せな気持ちになれるから。

なんてね。

短文ようりこ⑧ 

梨子ちゃんが好きだって自覚したのは高校3年生の冬だった。
受験が控えてるっていうのに風邪なんか引いちゃって、だけどパパもママも忙しくて暗い部屋でひとりだった私の元に訪れてくれた梨子ちゃん。自分だって勉強大変なのに、私のところに来てくれた。
「曜ちゃんは寂しがり屋さんだから」
私の手を握って、そう言ってくれた笑顔に私は自分の気持ちを自覚させられたんだ。気持ちを言うつもりなんてなかった。言っても困らせちゃうだけで、お互いに大事な時期なのに余計なこと考えさせたくなかった。
全員の受験が終わって、そろそろ冬も終わりって頃に梨子ちゃんから言われたひと言。
「東京の大学に行くの」
てっきり地元の大学に行くかと思ってたから、頭の中が真っ白になった。
本当は私のお見舞いに来てくれた時、その事を言ってくれるつもりだったらしい。私に気を遣って言わなかったみたいだけど。
私はお見送りに行けなかった。ただ行き場の無くなった気持ちをどこに向ければいいのか今も分かってない。
好き。好きだよ、梨子ちゃん。
気持ちを伝えてたら、なにか変わってたのかな。

もう届かない気持ちをどうにかしてください。

短文ようりこ⑦ 

目が覚めたら、ぐらっと視界が歪んで、ひどい寒気に襲われて、喉が痛くて、なんていうか気持ち悪い。
自分が風邪引いてるって気がつくのに時間はかからなくて。ただ最悪だって、それだけが頭に浮かんだ。
本当なら今日は梨子ちゃんとデートするはずだった。けど、こんな状態じゃ会えっこない。だから最悪なんだ。携帯まで辿り着いて開くのは梨子ちゃんとのチャット。早く伝えなきゃ。
『風邪引いちゃって、今日は会えそうにない。ごめんね』
少し素っ気ないかもしれない。でも、それだけを打つのもやっとなくらい具合が良くない。すぐに既読が付いて、返事が来る。
『看病に行くね』
私よりずっと短い文章。というか、なんか強引じゃない。あぁ、でも、梨子ちゃんに会えるなら…。
熱があるからかな。今日は素直になれそうだよ。いっぱい迷惑かけちゃうかもしれない。いっぱい甘えちゃうかもしれない。
『会いたい』
返ってきたのは『オッケー』って大きく書かれたクマのスタンプ。かわいいなって頰が緩んだ。

しばらくして、インターホンの音がした。
それは今日が最悪な日から最良の日へ変わる合図だったのかもしれない。なんてね。

短文ようりこ⑥ 

‪曜ちゃんが告白してくれた時のこと今でも覚えてるよ。

‪文化祭が終わった後の後夜祭。ふたりで抜け出したんだ。教室から外を見れば校庭では友達や先生たちがキャンプファイヤーを囲って楽しそうにしてて。なんとなく羨ましいなって気分になって、だけど隣で緊張した様子の曜ちゃんを見たらそんなのどうでもよくなっちゃった。‬
‪不意打ちでこっちを見るから心臓が跳ねて、視線を下に逸らした。ゆっくりと小さい手が伸びてきて、私の手を攫った。‬
‪「梨子ちゃん、好きだよ。好きなんだ…。好き…」‬
うわ言みたく‪好きって言葉を繰り返す曜ちゃん。顔を見れば赤く、ううん真っ赤になってて。夢じゃないんだって泣きそうになりそうになった。‬
‪私も好きだよって素直に言えたら良かったのに。言えなかった。‬
‪だって、私は教師で、曜ちゃんは生徒だったから。彼女を受け入れるわけにはいかなかった。‬

‪曜ちゃんは今頃どうしてるのかな。‬
‪また文化祭の時期が近づいてきて、貴女のことをよく思い出すの。また会いたいなって。

‪「今日から教育実習でお世話になる渡辺曜です」‬
‪よろしくお願いしますね、桜内先生‬

短文ようりこ⑤ 

‪いつからだっけ。曜ちゃんをただのクラスメイトと思わなくなったのは。‬
‪渡辺曜ちゃんはクラスの人気者。もし千歌ちゃんと出会わなければ、きっと仲良くなることもなかったであろう人。
‪『恋は唐突に訪れるもの』‬
‪中学生の頃、暇つぶしに読んだ恋愛小説にそう書いてあった。当時はピアノ馬鹿な私には無縁のものって思ってたけど。‬
‪曜ちゃんを見ると胸がドキドキしたり、苦しくなったり、他の人には感じない気持ちがいっぱいある。‬
‪「りーこちゃんっ!」‬
‪「わっ…!」‬
‪「えへへ、ビックリした?」‬
‪悪戯っぽい笑顔で見てくる曜ちゃん。私の手を握って、行こうって笑いかけてくれる。‬
‪あーあ、私の気持ちなんて全然考えてないんだろうな。曜ちゃんはいつも前ばかり見ている。そして私は曜ちゃんの前には行けない。曜ちゃんの目には私なんて映らな…。
‪「梨子ちゃん、どうしたの?」‬
‪前を見れば、キラキラした笑顔で私を見てくる曜ちゃんがいた。‬
‪忘れてた。曜ちゃんはちゃんと振り返ってくれる人だってこと。‬
‪「曜ちゃん…」‬
‪いつかでいいの。‬

‪いつか好きって言ってもいいですか?‬

短文ようりこ④ 

今日は席替えがある。楽しみにしてる子もいれば、憂鬱そうにしてる子もいる。
正直言って、私も席替えしたくない派だ。と言っても周りの子たちとは訳が違うだろう。私が今の席を離れたくない理由は斜め前にいる子だ。
斜め前を見れば初めての席替えでドキドキしてるのか、それとも単純に次の席はどこになるのか気になるのか、そわそわしている梨子ちゃんの姿があった。
梨子ちゃんが好きだって気がついたのは授業中だった。最初は可愛いくらいに思ってた斜め後ろから見る横顔。好きって感情が芽生えて、日を追うごとにそれが大きくなっていくのを感じた。それに伴って、真っ直ぐ彼女の顔を見れなくなってしまったのだ。ドキドキするから。私がまともに彼女の顔を見れるのは授業中だけ。だから、この席から離れたくない。

そう思ってた。

「みんな、席に着いたー?」
この状況はなに?隣を見れば先ほどまで斜め後ろから見ていた顔があって複雑な気分。
「隣が曜ちゃんって新鮮だね」
無邪気に笑う梨子ちゃん。新鮮とか、そうゆう問題じゃない。これじゃあ、授業に集中できないよ。
「はぁ…」
小さく吐いた溜め息がどうか彼女に聞こえませんように

短文ようりこ③ 

最後に好きって言われたのいつだっけ。
珍しく目が覚めてしまった夜中。隣に眠る曜ちゃんの寝顔を見ながらふと思った。
別に好きって言われたいわけじゃない。言葉なんてなくたって曜ちゃんの気持ちが私に向いていることくらい分かるから。それに私だって同じくらい彼女に自分の想いを伝えてない。
高校生の頃はお互いに未熟で、言葉がないと不安になったりすれ違ってばかりだった。大学生になってもそれは変わらなくて、大人になりきれない自分が嫌になったり、大人になれない曜ちゃんに呆れたりって色々とあった。
じゃあ、いつから?いつから私たちは自分の気持ちを言葉にしなくなったのかな?
手を伸ばせば届く距離にいる曜ちゃん。なのに、なんでかな。すっごく遠い距離にいる気がする。
これが、心の距離、なのかな。
恋を知ったばかりの中学生みたいな考えが頭の中を駆け巡って、くすりと笑った。
明日、久しぶりに好きって言ってみようかな。曜ちゃん、どんな顔するかな。昔みたいに真っ赤になって慌ててくれたら嬉しいな。
「好きだよ、曜ちゃん」
練習のつもりで放った言葉はひどく掠れてて。
明日、ちゃんと言えるかな…。

短文ようりこ② 

「り、梨子先輩!好きです!」
後輩からの告白はあまりにも唐突なものだった。
赤く染まった顔を逸らすことなく私を見続ける曜ちゃん。後輩だからか可愛いなって思ってしまう。
だけど、ごめんね。
「私、その、今は恋愛に興味がないっていうか…」
「私が女の子だからですか?」
「え…?」
「同性だからダメなんですか…?」
言いたいことバレちゃったね。別に同性同士の恋愛が悪いなんて思わない。思わないけど、いざ自分が恋愛をするってなったら別物だ。
私は弱いから、きっと曜ちゃんに迷惑をかけることになる。そんなのダメだよ。曜ちゃんには幸せになってもらいたいんだから。
「私、曜ちゃんに幸せになってもらいたいの。でもね、私じゃダメなの。曜ちゃんを幸せにしてあげられない…」
「……わ、私の幸せは私が決めることです」
「えっ?」
「梨子先輩と一緒にいるのが私の幸せです!私のし幸せを思うなら、私と一緒にいてください!」
…後輩にこんなこと言わせるなんて私って先輩失格だね。
伸ばした手を曜ちゃんの頰に当てて、ゆっくりと近づく。
「後悔しても知らないんだからね」

後輩に恋をするまで残り50cm

短文ようりこ① 

私の恋人である渡辺曜ちゃんは人気者。
友達はたくさんいるし、地域のおばあちゃんやおじいちゃん達にも親しまれている。
そんな良い彼女だけど私の前でいる時の曜ちゃんはいつも人気者の顔を捨ててしまう。ふにゃっと猫みたいな顔で私に抱き着いてくるし、頭を撫でてないと不機嫌になるし、他のことを考えようとしただけで「あっ、いま他のこと考えたでしょ」って言ってくる始末だ。
正直に言って、かなり面倒くさい。
「んー」
「どうしたの?」
「なに考えてたの?」
「曜ちゃんは面倒くさいなって」
「え、め、面倒くさい?」
「うん、面倒くさいなって思うよ。でもね、そんな面倒くさい彼女も可愛いなって」
私は相当変わってるのかもしれない。こんな面倒くさい彼女を嫌いになれない。むしろ、どんどん好きになっていく。
「梨子ちゃんって変わってるよね…」
「私も同じこと思ってたよ」
「えへへっ、相思相愛だ〜」
この場合、相思相愛っていうのはちょっとおかしい気もするけど可愛いからいいっか。
「梨子ちゃん、だーい好きだよ」
「私も曜ちゃんのこと大好きだよ」

私の恋人である渡辺曜ちゃんは人気者、だけど面倒くさい人だ。

ようりこ吸血鬼パロ① 

初めて恋というものを知った。
相手は人間の女の子で、しかも私たち吸血鬼の宿敵であるハンターだった。
出会ったのは森の中。木のてっぺんでお昼寝をしてた時だった。同じような匂いがぐるぐると同じところを回っていて、興味本位で下を覗き込んだ。そこに立っていたのが名前も知らない彼女だった。困った顔で行ったり来たり、迷子かなってすぐに分かって。だけど助けられないなって。だって、吸血鬼とハンターは分かり合えない存在だから。
「まぁ、いっか」
もういっかい寝転がって目を閉じる。だけど、妙にさっきの子が気になった。端的に言うなら可愛いから助けたくなった。
ハンターになる人は大体が吸血鬼に恨みを持つ人。多分あの子も同じような理由だろう。助けに出たところで殺されそうになるなら。やっぱり助けなくていいやって戻ろうとした瞬間、小さな声で「助けて」って。あまりにも綺麗な声だった。全身の血が一気に駆け巡って、ドクドクうるさい。
気がついた時には彼女の目の前に降りていた。
遠くからじゃ可愛いってことしか分からなかったけど、近くで見るとさらに可愛い、綺麗で一瞬で心を奪われた。
「助けてあげようか」

Pawoo

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