これは自分だけが感じるものなのだろうか。悩んだために判断材料を欲して、目の前に座る少年を注意深く観察する。しかしそれは意味がなかった。少年はずっとガタガタとその体を震わせている。
それが怯えによるものなのか、本当に寒いのかは小田切にわからない。きっと少年にだってわからないに違いなかった。
一応と思い「寒くはないか」と問おうとしたところで、少年が耐えきれなくなったかのように言葉を吐き出した。
「明るくして。明るくしてよ」
咄嗟に答えられなかった。少年の言葉に反応できなかったのではない。
この部屋はすでに充分明るいのだ。窓に取り付けられたカーテンは大きく開かれており、外は快晴である。おまけに部屋の電気もきっちりとついている。天井に取り付けられているシーリングライトは正常に機能している筈だった。
にもかかわらず、この部屋が薄暗いのも事実だった。少年の恐怖が痛いほどに理解できる。
自分用のメモ代わりです。