語るほどのこともなければ、えがくほどの夢もなく。
それでいてなお、私にとってはそれら些事の全てが一大事だ。

愛とは理不尽なもので、恋とは軽はずみなもので。
それでも「そういうものだから仕方ない」と開き直ることを、私の中では美しいとは思えなくて。

コントロールするだけの理性があるのだと証明すること、それも込みでなければ愛だの恋だの呼びたくはない。
本能からくる感情にそう名づけて呼ぶのは人間だけで、人間の愛として、人間の恋として行使することを放棄したらそれは単なる獣欲だ。
そうなれば何の呼び名もつけずラベルも貼らず、自らの中で暴れる獣のようなものを、首輪も嵌めずに野放しにしているのだと認めればいい。
私はそうした庭には足を踏み入れたくないし、自らの敷地に寝そべるものにはきちんと首輪と名を与えて管理し、飼い慣らしていたい。

それでも孤独は苦いから、私の獣は寂しがりだから、そう沢山は受けつけない。
少しずつ慣れていくから、今は少なめにしてくれ、せめてミルクをたっぷり入れてくれと注文したい。
それくらいは、まだ当分のあいだ許していてほしい。

間違っていても歪んでいても、澱んでいても欠損していても、美しければいいじゃないか。
美しく生きることとただしく生きることは必ずしもイコールではないし、私が思う「美しい生き方」というやつが、たまたま人の道を外れないというだけなのだ。

ずっと美しくいたじゃないか。人の道を外れたことなどないと、お天道様に恥じる生き方はしていないと、胸を張ることはずっとやめなかったじゃないか。
今だってそうであるはずで、少なくとも私はそれを美しいものと定義するけど?

私に美しいと評されても納得しないなら、それでいて自分ひとりで認めることもできないなら、まず私の評価が信頼に値することを知るべきだろう。
私の眼鏡も物差しも、未完成だがそこまで狂っちゃあいないはずだよ。だって私は私が美しいってわかるもの。

私を喜ばすためでなく、ただ自分の美しさを認めるため。
そのために、私をまっすぐ見つめてみてほしいと思う。穿ち過ぎずきれいにピントが合えば、否応なしに互いの美しさを認める羽目になるはずで、そうなればまあ結果的に私は喜ぶのだけど。

過去を掘り返して、思い出せる限り思い出す。
いいこと、悪いこと、微笑ましい記憶も、思わず恥じ入るようなものも。
インターネット上に、あらゆる媒体による思考のログを、いまだ律儀に残しているひとが相手だと助かる。
あまり苦労せず記憶のトリガーを引き放題だ……だから私は、たまに耐えきれなくなって削除してしまうたちなのだけれど。

胸の中に、タールのようにねっとりとした闇が落とされていく感覚を覚えながら遡る。
心の泉から湧き上がる澄んだ感情でも相殺しきれず、粘膜の色が黒く濁っていく。

煙草を吸いすぎた肺というのはこんな感じだろうか……ならばそれも人生の醍醐味だろう。

美しいものを、何者にも損なわせたくない。「手に入らないなら壊してしまいたい」なんていうのはあくまで欲であって意思ではない。

私自身が毒になるなら、薬になるまで薄まるべきだし、害にしかならないのならいっそ消え去るべきだと思う。
百害あって一利ないような生なら、私は自分を美しい生き物とは呼べない。生きていても仕方ない。死んだ方がましだと言い切る。

それでもそう言い切った上で、まだ醜く往生際悪く生き続けてしまうのだろうし、そうなったときにとどめを刺してくれるような慈悲深い人がそばにいるとも限らない。
だから、そうなってたまるかと思いながら生きている。

私が公式。私が原典。コンテンツのイメージを損なうような悪質な二次創作の私を、私の脳内から全部駆逐してやらなければ。
それが肉親の顔をしていようが、恋した人間の顔をしてようが、幼い頃の自分の顔をしていようが、構わず「解釈違いだ」と叩きつけて殺してしまえ。

築き上げられた「解釈違いの私」の屍の山の上で、昔好きだった悲しい歌を歌ってあげよう。
子守唄ほど優しくないけど、鎮魂歌として捧げてあげよう。

子供の頃、私は「可愛い」と言われたかった。従順な犬や家畜に見出す価値としての「可愛げがある」ではなく、もっと普通に、単純に。
そして「可愛い」より「きれい」とか「美しい」とか、言われたかった。
空想の中じゃなく実際に存在する、可愛いモノや優しい人に囲まれたかった。子供の頃のいっときの夢として、お姫様になりたかった。お姫様をやりたかった。

幼い子供が夢見る「お姫様」は贅沢な望みとも限らない。お金持ちの家に産まれなくたって叶う願いだったし、たとえダイヤの指輪と金のティアラが手に入ったところで、叶わないこともある願いだった。
それに私はお姫様になれなかっただけでなく、虐待を受けていた。

子供が虐待されるのは子供のせいじゃない。

子供の頃の彼が何をやりたかったのか、何をしてほしかったのか、私は知らない。彼自身も覚えてないと言う。
ただ「くだらない話や明日の楽しみの話で笑いあいながら好きなものを食べて、お腹いっぱいになったら眠くなったのでおやすみ」ができるときの彼は、とても無邪気で幸福そうに見える。

それができることを、今の彼が「なんかいいな、嬉しいな」と思ってくれていたら、私も嬉しい。

私の弱音を、自分にだって余裕がないにもかかわらず、それを知ってなお頼らずにいられない私なのだと知って、頷きながら聞いてくれる彼は優しい。
「できないことを責めない」というそれを、自分は当たり前のようにやるし、やろうと心がけているのに、同じようにしているだけの私に「君は優しい」と言う彼は優しい。

あなたが私を褒めること、全部あなた自身の自己紹介だよ?
そう思うから、私は彼をたくさんたくさん褒めるのだ。

心の温度が追いつかない、とあなたは言った。
追いつかない分、大事に扱おうと思っているしそうしていると。

そうでしょ、知ってる。
あなたはそういう誠実さを持つ人。やれるだけのことを常にやる人。当たり前のように本気を出す人。

だから、愛情の大きさが釣り合わないとか私ばっかりが真剣にやってるとか思わない。
そうなのかな、と不安になっても、それは違うという根拠は探せばいくらも転がっている。

温度が追いつかないというのも、どうなのかなぁと首を傾げたけれど。
私はすぐ強火になるというだけじゃないのかな。火を弱めるタイミングがわからないままちょっと焦がしたりしてしまう。
あなたは弱火とろ火でじっくり煮込むタイプじゃないのかなぁ……性格上、手間暇かけるのはお好きみたいだし。

おやすみ、今日も美しかったよ。

私は間違ってなかった。本当の本当、奥の底のところでは、私は何一つ間違ってなんかなかったじゃないか。

美しいものを美しいと感じた。
他者の美は奪えないと悟った。
気高さを保つために安らぎを求めた。
タールのような毒を拭い去り漱ぎ清めた先にある、柔らかい心の臓を暴き暴かれるための儀式めいた応酬を恋と呼んだ。
無防備な素顔に惹かれ込み上げる、泣きたいほどに透き通った慈しみこそが清らな愛だと思った。

何も変わっていない、何も誤っていない。

私の目指す美しさならきっとただしい。
私の翳すただしさならきっと優しい。
私の纏う優しさならきっと美しい。

大丈夫。たとえ愛欲のスラムに産み落とされた命でも、私の玉座はここにある。
楽園とやらへだって、このままで這い上がってみせるよ。

直後のやり取り 

明け方ちょっと吐いた経緯(ヘラってないです) 

‪「あなたでなければ嫌だ」と「あなたでさえあればいい」は同義ではないと思う。‬
「理想の人」という言葉が、特定の個人名を常に指しているわけではないでしょう。

‪逆に、誰でもいいと言えばそうなのだと思う……極論を言えば。‬

‪愛せる要素をより多く、一番たくさん持っている人間に対して、より近しい存在でいてほしいとか、自分の番になってほしいとか、そう願う‪ものではなくて?‬
それがあなただから、あなたでなくては嫌だと思う。

あなたにとって愛するに値する人間が増えませんようになんて、私は絶対に祈らない。
私の立場を脅かしかねないような美しい人間が現れませんようになんて、私は絶対に願わない。
美しいものは、より多くの人間に愛されてほしい。より美しい人たちに認められてほしい。

あなたにとって美しいもの、愛すべきもので、あなたの世界が満ちればいい。
その上で常に、あなたの隣に寄り添う者として選ばれる私でいられますように。

私は私の神にそう祈る。
信者の私の願いは、神様の私が叶える。

今日もあなたは美しかったよ。

かっちりとしたお洋服を着こなしていなくても、きりっとしたお化粧で彩っていなくても、気障な台詞を吐かなくても、悩ましげな笑みを浮かべなくても。
自然な表情、ただの普通の人間のお顔で、煙草を片手にスマホの画面を流し見しているあなたに、私はつい見惚れてしまうんだよ。

わからないかな、別に無理にわからなくてもいいよ。でも正直わかってほしいから、いずれあなたが見るとわかってこんなところにつらつら書いてしまうんだけど。

普通に生きてるだけでいいよ。あなたにとって「普通に生きる」ということは、それだけでたゆまぬ努力を意味すると知ってるから。
あなたがあなたらしく普通に生きている。それだけできっと、私はあなたを美しいと思わずにいられない。
あなたにそんなつもりがなくても、あなたは気高い人。強い人。優しい人。誠実な人。愛のある人。

今は言葉を尽くすことしかできないけれど。それで疲れさせたくはないけど。
あなたはきれいだったよ。ずっときれいだよ。
愛しているよ。

‪今日もあなたは綺麗だったよ。

気圧が低くて‬しんどかったね。頭が痛くてなかなか起きられなかったね。ずっと身体が重たかったね。いつもより食欲もなかったね。
それでもあなたは、今日も私に優しく微笑んでしまうんだね。車が来てるよって、並んで歩く私の方に腕を伸ばして歩道に寄せてくれるんだね。歩くだけでもやっとの頭痛に耐えながら、それでも買い出しに付き合ってくれるんだね。買い物の荷物を引き受けた私のバッグと傘は、あなたが代わりに持ってくれるんだね。
煮込んだカレーを、美味しいって嬉しそうに食べてくれて、私のしょうもない長話を適当に、それでもちゃんと聞いてくれて。

あなたは本当に優しい人だね。私にとって都合がいいだけの人を好いてるみたいに思われたくはないけれど……あなたは本当にきれいな人。
今日も美しかったよ、愛しているよ。

自慰 

オタク 

「クランクアップ!」 

喧嘩5 

喧嘩4 

喧嘩3 

Show more
Pawoo

Pawoo(パウー)はラッセルが運営するMastodonのインスタンス(サーバー)です。 「創作活動や自由なコミュニケーションを楽しめる場」として、どなたにも幅広く使っていただけます。