こんな時間にポテチを食うなんとなくポテトチップスとポテチが同じ食べ物に聞こえない

その日から、折りに触れ金魚のことを考えるようになった。飲食店でグラスに入った水を出されたとき、そこに舞う赤い光を探してしまう。喉を潤そうと台所に立つとき、風呂のふたを開けるとき……。妻はいぶかしげにどうしたのだと聞くが、別にと答える。それ以外どう答えることができるだろう。販売を行う店を探して顔を出してもみたが、水槽を泳ぐ姿ではしっくりこず早々に帰ってしまった。次に妻がいつ家を留守にするのか気にかかる。何度も聞いて浮気を疑われる。ある意味ではそうなのかもしれない。あるとき、妻が仕事から帰ってきて洗面台にいる私を見つける。朝、顔を洗おうとしてひねった蛇口から水が流れ続けるのを私はじっと見つめている。妻は声を荒げ何をしていたのか問いつめるので、私は水道代を無駄にしてしまったすまないと謝った。そういうことじゃないと妻が怒る。何があったの。しかしやはり、それは私にもわからなかった。(2/2)

自分でもどうしてだかわからない。妻がお義母さんと旅行だといって数日留守をする。億劫だったので妻が帰る前日にまとめて済まそうと食器を水に浸けていたらいつのまにか金魚が繁殖を始めていたので見とれてしまう。小さくて優美な金魚たちは皿やマグカップ、鍋の中をゆらゆらと泳いでいる。赤がほとんどだがときどき黒いのが混じり、群れになったりはぐれたり。ある赤の金魚はワイングラスの中を一匹でクルクルと泳ぎ回っていた。そいつはその透明な曲線の中にありとあらゆるすべてが完結しているようにひどく満足げな様子だった。しかし妻も帰ってくる。このままにしておくわけにもいかないので、とりあえず洗面器にでも避難させようと考える。これがいけなかった。金魚たちは移すはしから死んでいった。洗面器のプラスチックの上に赤と、ときどき黒の無数の死体ができた。私はそれらを仕方なくゴミ袋に移し替える。ビニール越しに魚たちの体に触れると生物らしい柔らかさと反発が感じられた。(1/2)

何か対策を講じなければならない。バイキンマンのことである。私としても気が引けるが、これ以上看過できまい。今日、彼が石鹸で手を洗っている、あの啓発ポスターとやらを実際に見た。彼はアンパンマンとともに明るい笑顔で「みんなも手を洗おうね」と主張する。その顔には生来の優しさと明るさが隠しきれないほどにあふれている。これこそ、彼をして長きにわたって一線に踏みとどまらせた天性である。以前、彼は私に言ったことがある。「喜びも愛も同じだよ」彼は匙でこぼれた角砂糖をすくいあげる。匙についたコーヒーが砂糖に染みを広げていく。「それをいつも忘れないようにしているんだ」彼が悪役としてテレビに現れたときの、あの騒ぎを私は今も覚えている。ばい菌がその存在を認知され、それとともに忌避感が、そしてあの「衛生観念」が立ち上がってきた時代に、大手を振るって悪役になること。罵声。悪意。それでも、結局は彼が正しかったのだと今では誰もが認めざるを得ない。いや、認めるどころかまったく英雄としてまつりあげてすらいる。ところで看過できないのは諸君か、それとも私か。私は一通の手紙を書くことにした。しかしそれは彼あてのものではなかった。

トイレに入ったら紙がないのでそのように妻に言うと、じゃあしなければいいじゃない。何を。うんこ。これは一理ある。するから紙がいるのであってしなければ紙はいらない。私はしないことを決めリビングに戻り一時停止を解除して巨大な黒い怪物が改めて東京を破壊するのを妻と見物する。一度しないことを決めるとそれにまつわる行為の奇妙さというのはひどく気にかかるもので例えばトイレの前を通りかかると(驚くべきことにそのような機会は生活の中で頻繁にあるのだが)家にどうしてこのようなすぐ四方を壁に囲まれた狭小な空間が必要なのか考えてしまう。中心につやつやとした白色の快い曲線で構成された口が開かれ人はそこに座りうち雄の場合その前にときどき立ちそしてまたすぐ立ち去る。ずっとそこに鎮座して待つのであるからこの場合この空間の主はまさに彼である。我々は部屋を借りるときわざわざ一室を設け折を見ては彼を訪れ食事を運び込み週末になればその体を綺麗に磨き上げる。お手洗いはどこですかと聞くあの言葉はひどく宗教的な響きを持っていないだろうか。そのように妻に言うと、これあげる。何。便秘の薬。

しまった不眠症に悩まされて爆弾を枕にしたらよく寝れたみたいな話にするつも。だったのにいつの間にこんなことに

眠れなかった。ここのところずっとだった。家に帰ると枕元に爆弾が設置されていていて、残り時間はあと六時間であるという。そうであればあと四〜五時間は眠っても逃げるなりなんなりできるはずである。もうずっと食事をすることすら億劫だった。眠いんですなどと誰が上司に言えるだろう。背広を投げ出してベッドに倒れ込む。消火器のように赤い三本のボンベの上に安もののデジタル時計が乗っている。それらの間に幾本ものコードが複雑怪奇、そのすべてがざらざらとした手触りのテープで粗雑に束ねられていた。時計は灰色の背景の中で直線によって黒い数字を描いている。強いて安らかに眼を閉じる。瞼の裏は一面に黒い。けれどその黒さの中になかなか眠りは見つからない。経験から言って眠気と眠りは常にともにやってくると限らない。眠ろう眠ろうと思うほどに眠れない。眠らなくて構わないと思うとやはり眠れない。次第に眉間のあたりと首の付け根がぼんやりとしてくる。そのぼんやりすらうるさく感じられる。目を開けると十五分しか経ってないぞと爆弾がいう。気が狂いそうだった。それでも眠れなかった。あと五時間半。

木村Q✏ boosted

Amazon MusicにあったからYMO聞いたらすげえいい。てってってーててててってててってってー

うちのクラスに設置されている爆弾は可愛くて優しいんだけどちょっとドジなのが玉にきず。先生をお母さんと呼ぶ、お弁当のお箸を忘れて鉛筆二本で食べようとする、それによく転けるし落っこちるし。まだ制限時間までたっぷり余裕があるのに(実際のところそれがいつなのかは知らない。僕の友達が一度ずばっと聞いたことがあるらしいけど顔を真っ赤にして逃げてしまい、翌日先生に大目玉。「聞いていいことと悪いことがあるんです」)、まかり間違って爆発したらどうするんだとみんな言うし、僕もそう思う。でもそうしたドジをきずと呼ばない人もいるし、僕も実はちょっとそう思うのだった。それはなんて言うか、そういうところがあってもいいんじゃないか、という感じで思う。たぶん「味」ってやつだと思う。今日も一緒に給食のカレーを運んでいたら、爆弾が転んで鍋を取り落としてしまい、しかもその拍子にうっかり起爆スイッチが入って警告音がけたたましく鳴り響いた。でも「ごめんね。いつもごめんね」と泣きそうになって謝る爆弾に、僕は「味」を感じてしまったりするのである。

仕事から帰ると家に爆弾があってとても困った。なんといっても爆弾である。つまり爆発するのであり、しかも爆弾であるから爆発すれば近くにいたものに巨大な衝撃を与えるのである。爆弾は私の借りる駅徒歩10分のワンルームの、5月になってまだ片づけていないコタツの上に設置されていた。それは概ね平均的な成人男性が持つ弁当箱ぐらいのサイズをした・金属製の・コードのごちゃごちゃとついた爆弾であった。少なくともこの爆弾が衝撃をもたらす範囲、特に人間という存在に致死性のある衝撃をもたらす範囲に、この部屋はすっぽりと入ってしまっていると考えるべきだろう。また、この場合重要になってくるのは私が爆弾で死ぬかどうかという点であるが、私もまた一人の雄の人類であるのであるから、この爆弾一つで死ぬことについては残念ながら間違いないといえる。つまりこのように考えると、私としてはやはり困ってしまうのだった。私はとりあえず旅行代理店に電話をすることにした。自宅に爆弾が設置された場合、普通、ゴールデンウィークの台湾旅行は中止に追い込まれると推測できるからである。そのため、私は旅行代理店に電話した。

木村Q✏ boosted

これ、自分の読みたい本のジャンルとかトゥートとした、誰か教えてくれるんかな?

シャワーヘッドから何かがずっとこちらを見ている

誰もいない風呂場でシャワーを浴びるのがいつも恐ろしい。確認したいから鏡が見たいけれど顔をあげて何かが映っているのが怖いからちょっと躊躇してしまう。いい歳をして何を言っているのだと自分でも思うしシャワーを浴びているときにも同じことを思うけれど顔をあげようというときに心の中でつぶやくその、いい歳をして何を言っているのだという言葉は、よくて強がりの響きしかもたない。今日も風呂場に入ってシャワーを浴び、と髪の毛がごっそりと抜け落ちて悲鳴を上げた。自分がカツラだったことを思い出したのは少ししてから。鏡の中では泣きそうなハゲおやじがこちらを見て震えていて、それがまた実に恐ろしい絵面であった。

その日の疲れはすがすがしい類の疲れ(大プロジェクトの終わり、塩をふった蟹の天ぷら、炭酸入りの黄色いアルコール飲料)ではあったがそれでも疲れは疲れであるので疲れを引きずってぐったりと家に帰った。服をベッドに放り出しついでに自分も放り出し誰もいない上に明日も仕事があるのだしこのまま眠ってしまおうかとも思うけれど誰もいない上に明日も仕事があるのだから放りっぱなしにしておくわけにもいかず足をばたばたとして布団の海を泳ぎ切りふらふらふらふらと風呂場へたどり着く。足の小指をキッチンカウンターの角にぶつけた。投げた下着が青いプラスチックの洗濯かごに三度投げても入らない。にへにへしながらメイクを落とし、にへにへしながらシャワーを浴び、にへにへしながら石鹸を探し、「しょうがないなあ」といって誰かが渡してくれたので「ありがと」と礼を言ってごしごし顔を洗い体を洗い、浴槽に浸かって一息つく。ああ、こんな風に過ごせる日々のなんて嬉しいことだろう。それからは辛かった労働を楽しかった労働に置き換え置き換え、ほとんど意識と夢を交差させながらいつしかベッドに潜りこんだ。もちろんそれから彼女は二度と目覚めない。

木村Q✏ boosted

マーク一覧です

🎨 ←絵師マーク
🚸 ←ロリ絵師マーク
🔞 ←18禁の絵師マーク
☠ ←R-18Gの絵師マーク
💏 ←NL
👩‍❤️‍💋‍👩 ←GL
👨‍❤️‍💋‍👨 ←BL
💦 ←おしっこ好き
💩 or🚽 ←スカトロ
😺 ←ケモナー
🤰 ←ボテ腹好き
📖 or🖋 or✏ ←字書き
✅ or☑ or✔ ←牙生えるJJJJJ
🐦 ←だまれトリ
🈁 ←私はココスが好きです

マークをコピーして名前欄に貼り付けてご使用ください。
他にマーク候補があれば教えてください。

キューティープリティソサエティ

Show more
Pawoo

Pawoo(パウー)はラッセルが運営するMastodonのインスタンス(サーバー)です。 「創作活動や自由なコミュニケーションを楽しめる場」として、どなたにも幅広く使っていただけます。