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着古したセーター。

終いに結んだ目を切り、ゆっくりと解く。

母さんが編んでくれたセーター。

寒い日はこれを着て、外で走り回った。
母さんは「転ぶわよ」と笑いながら注意した。

丁寧に、丁寧に解く。

走り回って転んで膝を擦りむいた。
泣いたのは痛みじゃなく、母さんが編んでくれたセーターが汚れてしまったのが悲しかった。

全部解き終わり、セーターだった毛糸を沸騰しているヤカンの蒸気にあて、再生させる。

雪が積もり、家族みんなで雪合戦をした。

ふっくらとした毛糸を、くるくるとまとめる。

雪が降りそうな日に、母さんと出かけた。
母さんとつないだ手。

編み棒を取り出し、一目一目ゆっくりと編んでいく。

背が伸びて、セーターが着れなくなった。
母さんはまた作り直そうねとセーターを畳んだ。

せっせと編み込んでいく。

あの日。
母さんが死んだ。
セーターは作り直してもらえなかった。

「ふぅ…」
最後の一目を編んで、結んだ。

「母さん、初めて編めたよ…」

ちょっとでこぼこの、長いマフラー。

母さんとの思い出と共に。
また歩いていく。

@baroque203  自分が昔着ていたセーターを編み直して自分の子供に…と思いきや切ない過去に胸がいっぱいです(*´;ェ;`*)

@tomoetaaan ありがとうございます(*´ω`*)

昭和な感じを出してみたかったのですが、上手くまとまらず…(T^T)
書いてるうちにこうなりました(*´ω`*)

@baroque203
一文一文から、情景がありありと浮かびました。切なく、けれど暖かく……前を向いて、歩いていこう。そう思えました。ありがとうございます。

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