秋月蓮華 @akirenge

「啄木サンの短歌だとふるさとの、なまりなつかし、停車場の、人ごみの中に、そを聴きに行く、とか」

「……まともな人の短歌だね……」

「おい」

啄木が刺すようにして言うが、多喜二が引用した短歌について言うとそう想ってしまった。

「……故郷の訛り聞いてたら、そもそも……しゅうげ……逢いに来たのかとか、そもそも標準語を話すようにしてるよねとか思い浮かんで……」

肩をすくめるようにして言う。
故郷というと本当の意味での元の世界が浮かぶが、特務司書の少女はやったことがやったことであり、知り合いから故郷に帰ろうにも、
帰るなら飛行機を落とされるぞとまで言われているし、言葉の訛りで何処か推測したり、わざと母国語なんて綺麗な発音にして誤魔化して、
出身を偽って、化けたりもするし、人混みは自然と気が抜けなくなるから好きでは無い。
自分は一般人が出来る当たり前のことを当たり前に出来ないところがあるのだ。

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