紅葉に秘密 

 在宅での仕事は順調。株で稼いだ貯金もまだ数年は心配要らないだろう。
 中学卒業と同時に働くか特待生試験を受けて自力で生きていこうと本気で悩んだ甥っ子を説得して、お金のことは気にせず好きな高校に行けば良いと行ったのは半年くらい前だっただろうか。
 両親の離婚と母親の病死で一人残されたまだ幼い三郎くんを引き取って十年は経った。あまり気にせず親のようにしてくれれば良いと思っていたが、本人の警戒心の高さかこちらへの気遣いか彼が素直に甘えたり笑うことはほとんどなかった。
 三郎くんに前世の記憶があるだろうことは察しが着いた。
 だが、昔出会った時と見た目が大きく異なっているのは変装名人の三郎くんだけに限った話ではなく、この雑度昆奈門にも当てはまることだった。

#trsg 

 久々に集まった五人での宅飲み。今回は智の家に集合でそれぞれ持ち物はつまりだったりお酒だったり自由だった。
 正直、最初はあまりにも自然すぎて気にも止めなかったわけだけどさ。さすがになんか違和感あるじゃん。思えば最初から違和感だらけなわけだけど。
「大河って今日は何時から居たわけ?」
「何時からって?」
 突然の話題転換に一瞬空気が止まる。だって、気になるじゃん。
 俺と翔吾は一緒の仕事の帰りに寄って、透は「つまみ調達してくる!」のLINEがあって俺らの後に来たわけで。
 俺たち三人が佐藤家に到着した時には既に大河は居たんだよ。
 最初はああ先に来たんだな〜くらいにしか思ってなかったよ?
 だけどさ、にしては馴染み過ぎてるんだよ。「お皿出して〜。」「グラスこれで良い〜?」って会話くらいならギリスルー出来たよ。まあ、ギリだけどね。ギリ。
「さっきから智以上に大河が動いてない?この調味料とかも智が場所わかんないって言って大河が持ってきたじゃん?」
「大河はしょっちゅう遊びに来てるんだっけ?」
 俺の疑問に透も便乗してくれた。
「今日に関して言うと、俺は泊まってた。」

#jsyg 

「髙地、今日暇でしょ?ご飯行こ。」
「勝手に決めんな。明日なら空いてる。」
「じゃあ、明日で良いや。でもさあ、こういうのって優先してくれるもんじゃない?」
「彼女じゃねえんだから。」
「コーチは俺が彼女だったら優先してくれるわけ?」
「大我がっていうのは置いといても、彼女なら優先するかなあ。」
「じゃあさ。」
髙地と京本の会話を遮ったのはジェシーだった。
楽屋の誰もが適当に聞き流していた年長二人のやりとりに僅かな休止符が打たれた。皆の注意がジェシーに集まる空気を感じた。
「じゃあ、俺をコーチの彼女にしてよ。」
「無理。」
まあまあ重めのしっかりとした口調で発されたジェシーの言葉を、無慈悲にもたった2文字で片付けた髙地。
どうしてくれんだよ、この空気。
そんな声も出せずにいる俺や心配そうな顔をした樹や慎太郎なんてお構いなしに、年長組は明日の食事の場所決めを初めてしまった。

勘くく
タカくく
で歩道橋
幼なじみ
勘ちゃん片想い
兵助女体化
現パロ

#nmmn #yskgym 

「翔吾~。これでいいの?」
「うん。やっぱり久下くんは女装似合うね。」
「声は男だけどな。」


『もしもし、きっくん!今暇?』
「いや、翔吾ん家で女装してる。」
『何で!?』
「何でってノリで?」
『えー!ずるい!ちょっと待ってて!』

#nmmn #yskg 

「冗談めかして言ったけどさ、やっぱり僕の久下くんだから。」
「翔吾のだったの?」
「少なくとも透のじゃないよ。」
「それはそうだけどさ。」
「元々は僕のマブダチだったじゃん。」
「別にマブダチって呼び方はしてなかったよな?」
「そういうことじゃないんだよ。」

#nmmn #yskg 

「あの頃はもうちょっといい感じだったよね。何で距離置こうなんて言ったの?いや、付き合ってもなかったけどさ。」
「邪魔でしょ。そういう感情。」
「まあ、そうだけど。」

特別という特権 #nmmn #yskg 

 そういえばまだ既読つけただけで返信してなかったな。いやでもこれ返信いるのか?
「久下くんは。」
 少し不満げな声が聞こえてまたスマホから視線を外す。透には悪いけど返信は後ででいいや。
「きっくんって呼ばれるのもうすっかりお馴染みって感じだよね。」
「3年も呼ばれ続けてるわけだしな。翔吾とはもっと付き合い長いのにさ、もう恭平くんって呼んでくれなくなったよね。」
「久下くんは久下くんだから。」
 ドライヤーの音が響く。というかなんか……。
「なんか……怒ってる……?」
「怒ってないよ。怒る理由がないじゃん。」
「それもそっか。」
 機嫌が悪そうに見えるのも気のせいなんだろう。翔吾が髪乾かすまでの間に特にすることもないし、水くらい用意しておくか。
 冷蔵庫のミネラルウォーターまだあったよな。

Show thread

特別という特権 #nmmn #yskg 

 俺の家が稽古場から近かった。それで今日はちょっと遅くまで自主練したりして、そんなこんなで気付けばまあまあ遅い時間になっていた。
 なんだか帰るのも面倒そうだったから「泊まってく?」なんて言えばすんなりとお願いされた。
「何笑ってるの?」
「ん~、あれ?ドライヤーの場所わかんなかった?」
 リビングでのんびりスマホを見ていたら後ろから声が聞こえた。振り返るとバスタオルで髪の水気を払ってる翔吾がいた。
「うん。前来たときのとこにはなかったよ。」
「あーそっか、場所変えてたわ。取ってくるから……はい。」
 スマホを渡すとキョトンとした顔をされた。
「笑ってたやつ。こないだのUNOの罰ゲーム、とーるざベストの12だって。」
 再生を押してそのまま洗面所に向かう。こないだドライヤー買い換えたから多分その時に置き場所変えたんだろうな。
 ドライヤーを手に部屋に戻って、スマホと引き換えにドライヤーを渡す。
「思いっきり『きっくんへ!』って呼びかけから始まってたね。」
「UNO優勝者への賞品が最下位からの一発ギャグだったからな。」

#trsg #nmmn 

「智は案外俺のこと好きじゃないよね。」
「そう見える?」
「うん。俺が別れようとか言ったらあっさりオーケーしそう。」
「それはないから安心してね。」
「…………そっか……。」
「そうだよ。」

「潮江先輩は前世からずっと立花先輩の隣にいたっていうのに今世では年下ポジションまで奪うなんてズルいですよ。」
僕の方がずっと立花先輩のこと大好きなのに。
僕はちゃんと覚えてるのに。

「今度の土曜日暇ですか?その日……。」
「ああ、その日は文次郎の面倒を見ることになってるな。」
その日、僕の誕生日なんですよ。立花先輩。

「というわけで俺になくて中在家先輩にあるものって何だと思う?」
「知るか。口数なら圧勝だぞ。」
下級生が野外実習に出掛けて疲れてるだろうかと委員会を休ませた日。学級委員長委員会の活動は俺と五年ろ組の鉢屋三郎の二人だけだった。
と言っても、お茶を飲むくらいしかすることがないわけではあるが。

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そもそも俺と中在家先輩っていうのは声の質のようなものが似ている。これは変装名人の鉢屋三郎も同意していたから間違いない。
だから、雷蔵が中在家先輩の声に惹かれるっていうなら思ってしまうだろ。
俺でも良いじゃんって。

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「勘右衛門? どうしたんだ?」
「へ? ああ、いや?! 何でもないよ兵助! 」
「そっか。」
目の前で黙々と豆腐を食べていた兵助を驚かせてしまったみたいだった。悪いな、兵助。
でも、そんな謝罪も出てこないくらい俺は混乱してしまっていた。

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「なんか声とかも落ち着いてて聴いてて心地が良いっていうか……。」
「はあ!?」
食堂で後ろの席からから聞こえてきた五年ろ組の会話は思わず声を上げてしまうようなものだった。

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「中在家先輩の隣は落ち着くなあ……。」
そんな風に呟いたのを聞いてしまった。今の自分にはいない一つ上の学年の先輩というのはやはり安心感があるのだろうか。

席替えで隣の席になった子は少し大人しめの女の子だった。派手な見た目で周りにはハキハキしたタイプの子が多かったから新鮮だった。せっかくだからと話かけようとした時、彼女の筆箱についた白い四角いキーホルダーが目に止まった。
聞くところによると『おとうふパズル』というゲームのパズルピースがお豆腐のキャラになってるみたいだった。可愛らしいキャラクターデザインが気になって、家に帰って検索すれば個人のアバターも作れると書いてあった。
「女の子用のアバターの方が可愛い顔してるし、洋服や服に合わせるならこっちがいいなあ。」
一時期は食べ飽きるんじゃないかと思っていたお豆腐も今となっては懐かしい。
「たまにはこういうのも良いかもね。」
パズルは得意じゃないけど課金すればそれなりに楽しめそうだし、なんとかなるかな!

課金はしたくないけど、強い装備は欲しい。そんな時に新規友だち勧誘キャンペーンが始まったものだから片っ端から友だちにフレンドコードを送りまくった。
庄左ヱ門たちは快くインストールしてはすぐにログインすらしなくなった。
あと一人誘えば10連ガチャがもう一回出来る。
あの人に会ったのはそんな日だった。
学習塾に通っていて良かったと思ったのもこれが初めてだった。
声をかけたその人は相変わらず馬鹿にしたような顔をしていたのにはムカついたけど、今はそれどころじゃない。ダイヤが待っている。
「この程度の宿題もこなせないやつに教える連絡先は持ち合わせてない。」

学習塾に通っていた俺はある日やたら遊んで毎度宿題を忘れてくる後輩に出会った。
生意気そうな顔をつねってやろうかとも思ったが、目が合ったそいつは開口一番飛んでもないことを言ってきた。
「三郎次!……先輩!じゃん。とりあえずメアド教えて下さい!フレコ送るんでおとうふパズル始めましょ?」

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Pawoo

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