秋穂の生まれ云々※ぐだぐだしてます 

秋穂はとある有名な女系一家の千駄ヶ谷家の長女として生まれる。家族は年の離れた兄たちと二つ違いの兄の四人兄妹で、当主の母とその側にいる父。
年の離れた一番上の兄は、母がもし女児を産めなかった時の保険として一家の一存で次期当主代理としてずっと躾られ、努力もしていた。
しかし秋穂が産まれたことによって、一家は秋穂のことしか見なくなる。前よりも努力したとて、母には見向きもされなくなってしまう。そうして一番上の兄は秋穂に嫉妬し、その兄の努力を見続けてきた二番目の兄は秋穂を怨むことになってしまう。
さらに一番上の兄には悔しくて仕方ないことがあった。それは本当は秋穂が自分たちの父親とは違うという事だった。

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つづき 

秋穂の母親には許嫁であった今の夫(兄達の父親)とは別に想い人がいた。それは千駄ヶ谷に仕える剣の師の息子であり、幼馴染みであった秋穂の父親だった。母親は一家のためにと今の夫に婿入りしてもらうが、三回出産しても跡継ぎとなる娘は生まれてこなかった。普通なら男子を産むことはよしとされる世の中でも、ここでは真逆だ。見知らぬ所で陰口を言われているのも察していた。
思い悩んだ母親は、師の代わりに仕えることになった想い人に語る。常に気丈に、鬼のようにしていなければならない当主に疲れ果てていた。そうして一夜だけの慰めを、と想い人に抱いてもらった。
その小さな幸福に包まれていると、ある日この胎に新しく命が宿っていると分かってしまった。傍らで思い続けたあの人とわたしの。当主として間違っていると、今の夫にも申し訳がないと思っていたけれど産むしかなかった。
そうして生まれたのは待ち望んでいたはずの女児だったが、母親は悲しみに包まれた。男であれば影で幸せになることが分かっていたのに、この子は一家の当主として育てるを得なくなってしまったのだ。

続きの続き 

和穂と名付けたられた少女は母親が本当の愛を隠すように、冷酷に厳しく躾られていた。次期当主の名を背負い、良い成績であるのは当たり前だと言わんばかりに視線が向けられる。応えよう、応えようと必死になるも、それらをこなすことは容易では無かった。そうして上の兄達からもまた冷たくされ、精神が毎日すり減っていく。
そうしてある時癇癪を起こした兄に告げられた。「お前は俺達の父さんとは違う」と。
自分たちがどこか兄達とは違うと感じていたけれど、明確にその原因を告げられた。小学校低学年の秋穂にはその線引きが耐えきれない事実だった。
家の中でなく場所を探して立ち入り禁止の蔵に行き着いた。普段なら絶対に入ろうとも思わないそこも、今は自分の悲しみを知っているように思えて物陰に座り込み嗚咽する。
そこで、千駄ヶ谷が管理していたはずの妖刀に見惚れてしまう。普段剣道を習っていた秋穂には、その剣が何よりも強さの証に思えてならなかった。これを扱えるくらいに強くなれば、みんなは満足してくれるだろうかと。

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